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ハンドクラフトギターフェス展示楽器紹介(3)

いよいよ3年ぶりのハンドクラフトギターフェスも3日後に近づいて来ました。

いつも展示会前は前日遅くまでギリギリの攻防が続くのですが、今年のセイレン工房はだいぶ早めに準備を始めたこともあって、驚くべき事に今日の夕方には全ての楽器の準備が終わり、あまりの解放感から17時にはビール片手に愛犬ハナの犬小屋の表札を作ったりしていました。幸せな事です。

1ヶ月前に我が家に来たばかりのゴールデンリトリバーのハナ(3ヶ月)は、専用のインスタページがあったりしますので良かったらご覧くださいませ。親バカぶりが伺えると思います。(笑)

  https://www.instagram.com/seilen_hana/

ワイン樽で作ったハナの犬小屋

さてさて。

メインの展示物であるウクレレの紹介は昨日で終わり、残りはかなり営業目的から離れた、髙橋信治個人の趣味?夢?憧れ?のような方向を含んだ展示品となります。

特別に「これを力を入れて売りたいんだ!」ということでもないんだけれど、楽器製作を40年以上も続けて来た自分の、「こういうものを自分が作れる(あるいは作りたいんだ)という事を忘れたくないんだよね」という部分です。

遠い昔、中学生の頃に初めてギターを持って、その当時に感じた何だかよく分からない興奮とその先にうっすら見えた(ような気がする)自分の可能性。
まさか自分が楽器を作るようになるとは思いもしなかったけれど、中坊からのギター馬鹿が半世紀経って考える、僕が思う、僕が好きな楽器作りはこんな感じ、というところです。

アコギを作るにしても、今更僕がマーチンのコピーを作っても仕方ないものねと思う。勿論その分野には素晴らしく優秀な人たちが沢山居るからです。
せっかく作るなら、僕自身が好きな事。そして他の人がやらない事。ウクレレを作りながらも、いつもそういう方向をチラチラと見ていたいなと思うのです。

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前置きが超長くなりました。
 
今日紹介するのは、アーチトップウクレレ1台と、アコギが2台です。

 


SLTA-326s アーチトップ テナーウクレレ シリアルナンバー#1000

・ホンジュラスマホガニーネック
・縞黒檀ヘッドプレート
・縞黒檀指板
・指板インレイ 999.9シルバー ワイヤインレイ 「アース」「ハート」「指板エッジ」
・アーチトップボディ
・シトカスプルーストップ
・キルテッドメイプル サイドバック
・アイボロイドバインディング
・縞黒檀 ブリッジ&テイルピース
・Mi-Siピックアップ

シリアルナンバー1000。
実はSeilenウクレレのシルアルナンバーはすでに1500を超えています。ちょうど今回のハンクラ製作で1500番を挟んで11台が並んだところですね。
 
1000番だったのは2019年の夏あたり。
何か記念になるもの、その時の自分の技術を盛り込んだものと思ってアーチトップ用の材を用意したのですが、何だかずっと忙しくて受注品ではないものは後回しかなぁという雰囲気でなかなか製作が進まず、あっという間に3年近くが過ぎてしまいました。
エクセルのシートの、1000番の行は空欄のままで。 

蓼科に引っ越して、相変わらずの忙しさなのだけれどそろそろやらなきゃねぇと言うわけで、ダンボール箱から取って置きのキルテッド材を出してカンナをかけ始めました。

アーチトップという楽器は、かなり手間のかかる楽器です。
トップ、バック共に、15ミリほどもある厚めの板を鉋で削ってバイオリンのようにカーブを作り、3〜4ミリほどに削ります。4分の3は削り屑になってしまいます。
美しいカーブを作るには、何度も何度も削っては手のひらで触って滑らかさを確認し、光にかざしながらスクレーパーで削り込む慎重さが必要です。フラットトップのウクレレの4倍も5倍も、もしかしたら10倍の手間がかかっているかもしれません。
しかもキルテッドメイプルを滑らかに削るのは本当に大変!!!

ボディに対してネックを角度をつけて仕込むのでその計算も面倒。フラットトップのウクレレと違って、ブリッジとテイルピースを別に作らなくてはなりません。

そんな手間のかかるアーチトップだけれど、完成した時の美しさは格別です。

天神板、指板、ブリッジ、テイルピースは同じ縞黒檀の板から削り出しています。
指板のアースインレイは、天然石のターコイズを削り出しています。そしてそれだけだとちょっと寂しい雰囲気があったので、5フレットにはハートのワイヤインレイを入れました。ハートのような、或いは芽生えたばかりの双葉のようなラインです。
後からつけるのが大変そうなピックアップは、Mi-Siをすでに取り付けてあります。

ハワイのコーラウウクレレが時々一点もののアーチトップを発表していますが、ほぼ7000ドル前後。今のドル円で言えば90万円くらいでしょうか。  まぁ参考までに。。。(^^)


SLB-480yc/6 バリトンサイズ6弦ギター

・ホンジュラスマホガニーネック 530ミリスケール
・ハカランダヘッドプレート
・ローズウッド指板(400R)
・イエローシダートップ + 黒白黒パーフリング
・インディアンローズウッド サイドバック
・ペグ Gotoh SGS-510
・チタン 2Wayトラスロッド

バリトンサイズのミニギターというのは、以前から時々製作しています。
最初は自分用にハワイアンコアで作ったのが最初でした。

多少はギターを弾く僕ですが、人前でライブ演奏したりと言うことは今では皆無。家で夕飯後に時々ポロポロ弾くくらいなのですが、そういった時間に似合う、スッと手に取れてちょっと緩めの音がするギターが欲しかったのです。

よくあるミニギターは、チューニングを何度か高めに合わせるものが多いのですが、ノーマルチューニングにこだわってちゃんと実用になるのが、ギリギリこのスケールだと思います。

テイラーのベビーなんていうギターも持っているのですが、もう少しコンパクトで何だったらキャンプとかにも持って行きやすいのがいいなと思ってのデザインです。

余談ですが、「デザイン」というのは物事の解決の手段であり、物事の方向性でもあります。
このシンプルでコンパクトなデザインが、貴方の何かを解決する手段の一つになれば嬉しいです。

そうそう。このイエローシダーはカナダの離島でひとり木こりをして暮らす男性が切り出して供給しているもので、キッチリと木目が通っていて素晴らしい素材です。


SLG-120s

・ホンジュラスマホガニーネック 610ミリスケール
・ジリコテヘッドプレート
・ローズウッド指板 (300R)
・アバロンドットポジ
・シトカスプルーストップ
・ホンジュラスマホガニー サイドバック
・アイボリーバインディング
・ペグ Gotoh SXB-510

もう一台のアコギは、ショートスケールのモデルです。
画像を見て分かる通り、至ってシンプルなマホスプルースのギターです。
特徴といえばスケールが少し短いだけ。後はしっかり選んだ良い素材を使っているところでしょうか。

昔から、一般的なドレッドノートのようなギターはちょっと僕には持ちにくく、いつも少し小さめなギターを探していました。
音の大きさや重々しい低音、というよりは多少小さめの音でも繊細で柔らかな音が好きです。

高校生の時にずっと使っていたのは親にねだって買ってもらったギルドのスプルース/マホガニーのアコギ。
やはり思春期に長く使っていた楽器は自分の好みにも大きな影響を与えているのだと思います。

そんなわけで、シンプルな610ミリスケールの弾きやすいギター。
マホガニーの優しい音色。でもしっかりと美しい倍音、高音もあります。低音だって、ガツンと弾けばしっかりと応えてくれます。

今回のこのギターは、ほぼ僕の理想の音色です。 是非弾いてみてください。


そんなわけで、3台の楽器の紹介、いかがでしたでしょうか。
セイレン。ウクレレだけじゃないのよとちょっとアピールしたい部分だったりします。

この1ヶ月、注文製作を離れて自分の作りたいものを作る時間でした。
こういった機会に自分がやりたかった仕様や新しい技術に挑戦したり、自分が本当に作りたいものは何だろうと問いかけてみたり。

思い切って様々なものを作る時間があるからこそ、また今後の製作にそういったノウハウや考え方が生きてくると思います。

ハンクラの会場で、あるいはこのブログを読んだ感想など、いろんな意見や感想をお寄せください。
そういったものを糧として、セイレン工房のふたりはまた頑張って進んで行くのだと思います。

明日は、ハンクラに関してのご案内などをもう少し書こうと思います。

ではでは。また!(^^)/

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