【母島へ】
昨年4月 、タマナの木で作ったウクレレの里帰り旅で訪れた母島ですが、今年もご縁があり1年2ヶ月ぶりに訪れることが出来ました。
今回はエリさんの「タマーニャ里帰りライブツアー」に同行しての旅行。
そして僕のもう一つの目的は、今後のタマナ材の供給の可能性を探るためともう1つの母島産の木「アカギ」に関しての調査です。
6月2日、去年の夏に新しくなったまだピカピカの「おがさわら丸」で午前11時に竹芝桟橋を出港。パワーアップしたおが丸の乗船時間は以前よりも少しだけ短くなって、24時間で父島に到着。そしてこれまた新しくなった「ははじま丸」で目指す母島へ。港ではもう顔馴染みになった母島の皆さんが集まって出迎えて下さいました。
到着初日の夜はエリさんのライブ。驚くほどウクレレ人口が多い母島で、ウクレレ好きな皆さんが手に手にウクレレを持って集まり、演奏を聴いたり一緒に歌ったりと楽しい夜を過ごしました。
演奏終了後の懇親会で地元の人と話してると、
「ウミガメとか普通に産卵に来てるよ」
「え?うそー!まじ?」
「いるいる。見に行く?そーっとね」
「よっしゃ」
ってな感じで、真っ暗な中息を殺して海辺に行くと本当にウミガメさんが砂を掘り返しながらウロウロ。
本当に自然豊かな母島ならではだなぁとびっくりした出来事でした。真っ暗なので当然写真ありません。(^^)
【アカギの森】
翌日はガイド役の小西さんと、宿泊した宿「ひなた」のオーナー川上さんに車を出していただいて母島の森の視察。
母島では、外来種の「アカギ」という木が戦後数十年の間に本来の在来種の樹の森の中にはびこり、現在では逆転してほぼ「アカギの森」になってしまっている場所もあるくらいな状況になってしまっています。
ボランティアの皆さんが手作業でアカギの幼樹を抜いたり、根に薬を注入して枯らしたりという作業を進めているそうですが、「桑ノ木山」と呼ばれるエリアを少し視察しただけでもそれが気の遠くなるような作業だということがよく分かります。
遠くに住んでいる僕達に何が出来るのか全く未知数ですが、何か少しでも役に立てないかと考え、切り倒したアカギで楽器を作ることを検討しています。
実際に、昨年父島で自然再生プロジェクトを展開している竹澤さんから提供していただいたアカギの木を使って作ったソプラノウクレレが有ったので、今回の小笠原ツアーに持参しました。
どちらかと言うと悪者というイメージが定着しているアカギですが、木の質自体は緻密で堅く楽器にするとなかなか良い音色になります。このウクレレもとっても素晴らしい音色なんです。
今後、ウクレレを作っていくことだけで伐採したアカギの消費が爆発的に進むということはあまり期待できませんが、何らかの啓発や、内地の皆さんに興味を持ってもらえることに繋がるのではないかと期待しています。
【タマナの丸太の製材作業】
アカギの森の視察を終えたあとは、タマナの丸太の製材作業。
木材は、家具や建材として使うのと、楽器を作るための用途では製材の仕方に違いが有ります。基本的に「柾目」という向きに切らねばならず、そうしないと音色や強度が落ちてしまうのです。
今回は予め、「楽器製作用に木材を製材するための説明会をします。」ということを島の関係者の皆さんに伝えていただいてあり、大型チェンソーなどを用意して数名の方に集まっていただくことが出来ました。
大雨の中での作業でしたが、怪我も無く終えられてホッとしました。製材したタマナは後日セイレン工房に送っていただいてシーズニングし、ウクレレに生まれ変わる予定です。(写真提供:斉藤みきさん)
【父島へ】
母島での2泊3日の日程を終えたあとは、ははじま丸で父島へ移動。
父島でツアーガイドをしつつ、「ハートロックビレッジ」という宿やカフェも経営している竹澤さんのもとを訪れ、1年前に託されたアカギの木で作ったウクレレを手渡すことが出来ました。
右側のタマナウクレレは、竹澤さんがハートロックのペンションを建てた時に切り倒したタマナを軒下にずっと保管してあって、その材を譲り受けて僕が作ったものです。
そして左側が今回製作した、アカギのソプラノウクレレ。
父島を訪れることが有りましたら是非「ハートロックビレッジ」でこのウクレレを弾いてみて下さいね。
最後に、小笠原のアカギ問題についてのリンクを張っておきます。少しでも沢山の人に興味を持ってもらい、こういった問題があることを知ってもらえたらいいなと思います。
・「切られて捨てられている木を木工の材料に使うことで、新たな命を与えて生きかえらせる(しぶや木工塾が取り組む、小笠原母島のアカギ木工教室)」