塗装終了後のウクレレは、いよいよ最後の組立工程に入ります。
ブリッジが付く部分の塗料を完全に慎重に剥がし、丹念に磨き上げたブリッジを注意深く接着します。接着部分に塗料が残っているとボンドが効かず、接着不良になって後から剥がれてしまう原因になりかねません。
ブリッジ接着後は、指板・フレット周りの仕上げ工程。
フレットの上面のレベル出しをしてから、再びフレットの形状を整え、きれいに磨き上げます。
フレットは指板接着前に慎重に打ち込んであるのですが、100分の何ミリ、という精度で見るとどうしても微妙に高さの差が出てしまいます。そのフレットトップを、細かなサンドペーパーを貼り付けた平らな木やアルミの板で精密に削り、レベルを揃えます。ここのレベルが出ていないと、後々弦のビビリなどの原因になってしまうからです。
そして削った結果わずかに平らになってしまったフレットトップを、もう一度サンドペーパーや専用ファイル(ヤスリ)で丸い形に削り込みます。
この工程でフレットトップの形状が平のままだと、理想的な弦の振動が得られません。弦とフレットが点で接することが重要です。もちろん音色や音程にも影響が出ます。
硬い金属で出来ているフレットトップを、僅かとはいえ削ってきれいな丸い形状にするのはなかなか手間の掛かる仕事です。フレットは1台あたり18本から20本も有るわけですから。
また、フレットの上面だけではなく「端面」(指板の両サイドの部分)もきれいに角を取って丸くする必要があります。
そうしないと、わずかに指板が痩せただけでもフレットが出っ張って、角が手にあたって弾きにくくなってしまいます。「爪が当たって削れてしまう」なんてことにもなります。
「プレイヤーが、フレットの出っ張りなどを気にしないで気持よく演奏に集中できるように。」そう思いながら1本づつ丁寧にフレットの角を削って仕上げます。
「手間はかかるけど、楽器として当たり前のこと。」
Seilen・T's Ukuleleの楽器はこうやって1本ずつ丁寧に仕上げられています。