ウクレレ

フェンダーvsギブソン

DU BOOKS社から発行された「フェンダーvsギブソン」という本を読みました。

本文が500ページ近くある分厚い本で、久しぶりに読みごたえのある本だなという感じでしたが、ギターに興味のある人ならばきっと読み飽きずに読了できると思います。

僕はといえば、何冊かの本を並行して読んでいたことも有って2ヶ月がかりくらいでの読了ですが。。。
最近は以前よりも本を読むのに時間がかかっている気がします。文をじっくりと読んでその内容をしっかりと理解したいからなのかな?年齢のせいなんてこともあるのだろうか。。。まぁそこはあまり気にしないようにしておきます。(笑)

中学生の頃からギターにのめり込みギターひとすじに40年以上生きてきた僕にとって、なんとなく分かっていたつもりだったけれど実際は理解していなかった、エレキギターの歴史の中の様々な事柄がまるでパズルのピースが嵌るが如く繋がり合って理解でき、今では歴史的に名前の知られるあのギターこのギターの開発された背景が目の前に展開されてまるで映画を見るような楽しさでした。

エレキギター黎明期のカリフォルニア、アナハイム。

今ではディズニーランドの街としても知られていますが、僕たち楽器業界の人間にとっては世界最大の楽器ショーであるNAMMショーが開催される地です。

1940年代のこの地では、今ではレジェンドとして名前を知られる楽器業界の若き天才たちがガレージに集い、如何にしてビッグバンドに負けない大きな音の出るギターを作るか議論をしていました。
僕にしたら、この本を読んで初めて「この人とこの人はつながっていたんだ!」「この人達は同じ時代の人だったんだ。しかも近所で知り合いで一緒に酒飲んでたんだ!!」とびっくりする事ばかりです。

言ってみれば、バック・トゥ・ザ・フューチャーみたいな感じで、過去にさかのぼってある日のアナハイムに行ったら、憧れの人たちが皆知り合いでガレージで酒飲んでワイワイと楽器の議論をしていたわけです。しかも、彼らが居なかったらエレキギターなんて生まれなくて、したがって今の僕の存在も無いわけです。

もしラジオ職人だったレオ・フェンダーがギターに興味を持たなかったら僕の存在が消えてしまう!何とかして彼にエレキギターの絵を見せなければ!!みたいな事なんです!(ちょっと大げさ)(笑)

 

 

この本の題名は「フェンダーvsギブソン」ですが、内容はエレキギターが市場に出てくる少し前からの時代を、当時の音楽事情(アーティストやそのヒット曲と時代背景)を描きながら何故この時代にエレキギターが必要になったのか。実際にどんなミュージシャンと楽器製作家が絡んでどんな楽器がどうやって作られたのかが克明に描かれています。
僕のような、自分でも楽器の製作に取り組んできた人間にとっては本当に興味深く、当時の(60年も前の!)人たちが初期のエレキギターを作り出した様を驚きとともに読み進めていけます。

エレキギターのことを少し知っている人ならば分かると思いますが、1950年代当時のエレキギターと、現在製作されているエレキギターは、(お恥ずかしいことに)技術的に大して変わりないのです!
逆に言えば、いかに当時の開発者たちが天才的かつ努力家だったのかが分かると思います。

僕自身はこの本でレオ・フェンダーの楽器開発の姿勢について読んで、うんうんと大きくうなずく思いでした。楽器はミュージシャンの悩みを解決するためのものでなくてはなりません。技術者は常により良い道具を作り出すために努力をし、学び続けなくてはなりません。

 

今、60歳にしてこの本を読んでまた、楽器に対しても音楽に対しても、思いを新たに出来ることに感謝します。 読めて良かった。

そしてまた、この60年間が音楽にとって特別な60年だったのだろうなと想像し、その時代に生きられて良かったなと思います。

-ウクレレ