この前ハカランダの話を書きましたが、ハカランダって何?って方も多いですよね、きっと。ちょっと解説をしてみますね。
ハカランダは学名は「Jacaranda mimosiforia」だそうです。ジャカランダと呼ばれることもありますね。南米やスペインなどに生えている木ですが、数が減っていることからワシントン条約で保護されています。絶滅の恐れのある野生動植物の保護のための国際的な取り決めですね。
これにより日本では、1980年以前に伐採されたハカランダであって、しかも輸出入の両方の国が許可した場合に限り輸出入が可能です。1980年以降に伐採したハカランダは、全面的に商業取引が禁止となっています。非常に厳しい決まりですね。
1980年以前の材を輸入するのにも、たくさんの書類を書いてとても面倒な手続きをしなくてはなりません。
この影響で、ハカランダ材は年々希少価値が上がり、それに伴って価格も上がっています。
「25年以上も前に事実上の伐採禁止になっていれば、もう流通してないのでは?」と考えるのが普通だと思いますが、実際は切り倒してから20年以上もの間、丸太の状態で寝かせて乾燥してあった材などが未だに少数あり、そういった材がぽつりぽつりと流通しているようです。
うちの工房でもだいぶ以前に購入したまま寝かせてあったハカランダを、小出しにして使っています。非常に硬く割れやすい木材のため、買ってからもすぐ使えるわけではなく、慎重に何年も何年も寝かせながら乾かしています。
実はこのハカランダ、ハワイ島あたりには結構自生していて、5月当たりにカイルアコナから車で北上していくと、途中に華やかに咲いています。(画像は僕が昨年の旅行の時に撮ったものです。)
薄紫色のきれいな花で、日本で言えば春に桜が咲いているような風情があります。あまり太い木は見当たらないのですが、この木がギター材を取れるほどに成長するには、途方も無い時間がかかるのだろうなと想像できます。
商業取引が禁止になっている木材を、「禁止になる以前に採ったものだから」と言って使い続けることは、正直に言うと製作者として悩む部分もあります。希少価値があるから当然価格が高騰し、「高く売れる」となれば、それに目を付ける人間が出るのも当然。必ず密売、密輸などの問題が起こってくると思うからです。
その事の是非はひとまず置いておくとしても、少なくとも、希少な木材であるハカランダを精一杯の技術でよい楽器に、数十年使える楽器にする使命は感じながら作らなくてはなりませんね。