ウクレレ

Low-G化の注意点

【ウクレレLow-G化の注意点】

リペアで工房に届いた楽器、たまに4弦をLow-G弦に交換したものがあったりします。オーナーさんが替えたんだろうなと思うけど、張り替えただけで何のメンテナンスもしていない楽器が時々見受けられます。
個人の方からの発送もありますが、楽器販売店さんからの依頼もあり、発送時にLow-G化に関するチェックがされてない事があるのではないかと思います。

というわけで、ちょっと説明。(^^)

まず、ハイG仕様のウクレレの4弦をローGにする場合、ナイロン弦か金属巻き弦かの選択肢があります。巻き弦(ワウンド弦)の場合はハイG弦とほとんど太さが変わらないのでナット溝やサドルの調整の必要がなく、とりあえず試してみるのにも向いています。

ナイロンのプレーン弦の場合は4弦がかなり太くなるのでナット溝に弦が嵌まらず上に飛び出した状態になります。ナット部での弦高が高くなり弾きにくいだけではなく音程も合わなくなります。またその太さによりオクターブピッチも変わりサドル交換の必要があります。

Seilenのウクレレのサドルは、各弦ごとに弦とサドルが当たる位置が変わるように調整(補正)してあります。サドルのてっぺんが一直線ではなく少し曲がった形状になっています。出荷時はHigh-Gのセットに合わせていますが、Low-Gのセットにする場合は、4弦とサドルが当たる位置をボディのお尻方向にずらさなくてはならないのです。

とりあえずお試しでLow-Gにする場合は、巻き弦(ワウンド弦)を使うようにするか、ナイロン弦を使う場合は信頼できる楽器店かリペアショップに相談してナット溝を広げ、サドル位置の調整をしてもらいましょう。
ナット溝を広げた場合はハイGに戻す時にナットの交換も必要になってきますので慎重に考えましょう。ナット交換時に接着してあるナットを外すのはなかなか大変で、多少のリスクも伴います。

音質についてですが、1〜3弦がナイロンだから4弦も同じ材質にしたほうが違和感が無いはずと思いがちですが、実はエレキギターもアコギもクラシックギターも3弦まではプレーン、4〜6弦は巻弦になっていて、それには理由があります。プレーンのまま太くしていくと音質がこもり気味になってしまうからです。

それでも3弦と巻き弦の4弦の音質の違いが気になるという方にはクラシックギターの4弦用のフラットワウンド弦を探してみるのもいいかもしれませんね。残念ながら田舎ではなかなか手に入らないのですが。。。(泣) ウクレレ用でも巻き弦の表面を磨いたツルッとした弦もあるようです。探してみてくださいね。(^^)/

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【追記】

「なぜ太い弦だとサドル調整をしなくてはならないか」

弦が太くなると、ナットやサドルの接点で弦が素直に折れ曲がってくれなくなります。曲がった前後で弦が「こわばった」状態になっていて、そのせいで実際にきれいに振動する部分が短くなってしまいます。結果、サドルが少し前にあるのと同じ状態になってしまい音程が合わなくなります。

図解しないと分かりにくいかな。。。?

 

アコギやエレキギターでも、太い弦になるにしたがってブリッジサドル位置がずらしてあります。

サドルがすごく低く設定してあって、弦が折れ曲がる角度が浅ければ補正が必要な長さは短くなります。
また、サドル幅を広くして、弦が緩やかに曲がるようにするという解決方法も考えられますね。

スロッテッドヘッドなどはナット部での角度がきつくなるので、太い弦を張った場合理論上では多少音程がずれてきますが、弦を張ってから時間がたつと折れ曲がる角度に馴染んできてずれが少なくなることが予想できます。

 

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