ウクレレ

セイレン工房 設立5周年

ふと気が付いてみれば今日は2月2日。5年前にセイレンを設立した日。あっと言う間の5年間。

23歳で創業し、零細企業とはいえ25年間育て上げ社員15名を抱える楽器製造会社になっていたティーズギターという会社を譲り渡し、新しく自分自身のちっぽけな工房を作った日。

1月2月の寒い冬の日々に平日はティーズギターの社長としての仕事を続けながら、土日はずっと不動産屋で工房に適した物件を探したり、ストックするために材木を選んであちこちで注文したり、司法書士の先生と相談しながら会社設立の段取りをしたり。もちろん会社を譲り渡すための手続きはかなり煩雑で時間も取られ、間に第三者を挟みながらの交渉事もなかなか進まずまさに心をすり減らしながらの苦しい時期だった。

そうやって何とかセイレン工房をスタートしての5年間。

考えてみれば以前の僕の人生はティーズギターという会社を維持し発展させる事が目標だった。自分が始めた小さな会社がどれだけ楽器業界に、世界に通じるのかを試しチャレンジしたかった。その目的のためにスタッフが増え、今度はその給料やボーナスの心配をし、皆が忙しく過ごすための仕事を取って来る事が僕自身の仕事になった。
ハワイのウクレレコンテストにエントリーし、入賞を狙う事さえも「その後のビジネスに繋げるため」「社員の仕事を作るため」であったかもしれない。自分が思う楽器を自由に作れるのは1年の間に何回かしか無かったけど、でもそれはそれで楽しく、社長として充実した時間だった。スタッフと一緒にチームとして仕事を進めるのもすごく楽しかった。

セイレンを始めてから、特にここ3年間くらいの自分は、自分自身が「俺ってこんなにもの作りが好きだったんだ。」ってちょっと驚くほど製作に対して興味が増している気がする。
「自分を磨く」という大きな目標自体は以前と変わらないんだろうけど、「社長として」という立場から「ひとりの製作家として。人間として。」という方向へ大きく変化した。これって、自分が最初から意図してたわけでは無くてセイレン工房始めてごく自然にそうなってきた。あるいは、以前は自分の心の中に仕舞い込んでいた部分が外に出て来たんだろうか。

ウクレレ作りはもちろん一番メインの仕事だけれど、モバイルベースももっと研究したいし、また改めてアコースティックギターやエレキギターも作りたい。アーチトップギターも作りたいし、楽器以外の生活に役に立つ木工品もたくさん作りたい。色んなデザインをしてみたい。

そう、そう言えば「デザイン」ってのは商品の事ばかりじゃないんだよね。自分の人生だってみんな自分でデザインしてるはず。素敵なデザインをしてみたいじゃない。

いずれにしても。

50歳目前から始めた第二の人生。2番目のストーリー。とても楽しく充実した日々を過ごしています。

楽器をオーダーしたり購入していただくお客さま。楽器業界の皆さん。狭い工房で頑張って一緒に仕事を手伝ってくれるスタッフ。そして我がままな僕をいつも理解し励ましてくれる相方。応援してくれる友人達。

ありがとうございます。  みんなありがとうね。  高橋はまだまだがんばるよ!

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