ウクレレと湿度について

今年は雨続きの7月でずっとジメジメした日が続きました。日本は四季がはっきりしているために季節による湿度の差が多く、1年の間に20%から80%くらいまで変化する事も珍しくありません。

セイレン工房のある松本市は年間の晴天率が高く、またアルプスを越えて来る乾いた風が吹くために春先は湿度計が0%を示す事もあります。梅雨時や夏の間も比較的湿度が少なく、そのために楽器作りに適した気候と言われています。

さて、ウクレレやギターなどの楽器は湿度に気を付けなくてはいけないとよく言われます。楽器店でも加湿や除湿のための様々なグッズが売られていますね。空気が乾燥する時期や梅雨時などの湿度が多い時期に、楽器の弦高がいつもと違うようで何となく弾きにくかったりした経験がある方もいらしゃるのではないでしょうか。

では、実際の湿度と楽器の状態の関係はどうなっているのでしょう。
今日はウクレレと湿度の関係について実験を交えて考えてみましょう。

ご存知のようにウクレレはほとんどの部分が木で出来ています。プラスチックでは無く木で作ることでその温かみのある音色を作っている訳ですね。

木はその構造の中にミクロな穴を沢山持つ多孔質な素材で、そのためにとても湿度を吸収しやすくなっています。そして湿度を吸ったり吐いたりする度にその寸法が変化します。太ったり痩せたりするわけですね。

ここで注意したいのは、寸法が変化する方向についてです。木は、繊維が伸びている方向(長さ方向)にはほとんど伸縮がなく、幅方向にはかなり大きな伸縮があります。(ちなみに合板の場合は薄い板を何層も貼り合わせる時に繊維方向を変えながら貼っていますので、比較的湿度に影響されにくい素材と言えます。)

梅雨時の湿度が多い時には木は幅が広くなり、乾燥した時には縮んで幅が狭くなります。

木材の湿度に対する特性を知っていただいたところで、ウクレレの構造の話に移ります。

ウクレレはボディの製作時に内部に補強として棒状の木を組み合わせて接着します。力木(ちからぎ)やブレイシングと呼ばれる部材です。

上の写真で、響板(サウンドボード)と力木の繊維方向が直交している事に注目して下さい。

湿度が増えたり減ったりして響板の寸法が変わるわけですが、そこに接着してある力木は繊維方向に長いので、寸法が殆ど伸び縮みしません。

響板は動きたいのですが、接着されている力木がそれを阻止してしまうわけです。その結果、どういう事が起こるでしょうか。実験してみましょう。

写真は2ミリの厚みのマホガニーの板に力木を貼ったものです。湿度ほぼ50%の状態で接着をしました。接着の時点では表面は平らになっています。

接着直後は平らな状態
湿度を加えたところ

湿度を加えるためにマホガニー部分を濡らしてみたところです。それほど大きな狂いではないですが、表板の左右に1ミリほどの隙間が見えます。マホガニーの板が湿度を吸って幅方向に伸びたいのに裏の力木が邪魔をするので、結果として反り返る事になるのです。

逆に乾燥した場合はどうでしょうか。実験素材を晴天の34度、湿度40%以下の場所に30分ほど放置しました。

真ん中にかなりの隙間が空いてます。
力木を貼ってある側の画像

表板が縮み、相変わらず力木は変わらないために表板の真ん中がかなり凹んでいます。これがウクレレのボディだったらどんな状態になるでしょう。トップ板が凹むために弦高が下がってしまいますね。

実際は表板はボディサイドと接着されているためにこれほど自由に動けるわけではありません。縮みたいけど外周を固定されているためにパンパンに張った状態になり、最終的には割れやすい部分(ブリッジの両端など)でひび割れ(クラック)が起きてしまいます。

ウクレレが湿度変化に弱い理由、お分りいただけたでしょうか。

アコースティックギターなどは力木の配置がウクレレと少し違い、エックスブレイシングと呼ばれるシステムが多いと思います。そのために響板と力木が完全に直交せず、45度くらいになるためにウクレレほど極端に湿度の影響を受けないような気がします。(あくまで僕の推測ですが。)

実験では加湿よりも乾燥の方が変化が大きく現れました。夏場の炎天下やエアコンの前など、極端な湿度変化にはくれぐれもお気をつけ下さいね。

なお、実験は木部が全く未塗装の状態で加湿や除湿をしています。実際の楽器は殆どがきちんとした塗装をしてあると思いますのでここまでの変化は無いのではないかと推測出来ます。逆に、オイルフィニッシュや、目止めをしてないオープンフィニッシュの楽器は湿度変化の影響を受けやすいのではないかと考えられます。

愛機のお手入れの参考にして下さいね。

それではステキなウクレレライフを楽しんでください!(^^)/

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